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意外と少ない東大就職率!? [文化?]

掲示板でこんな書き込みを見つけました。
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【学歴】東大の就職率は30%以下【崩壊】

東京大学平成15年度学部卒業者就職状況
http://www.u-tokyo.ac.jp/stu02/h03_01_j.html

年度 卒業者数  就職者数  就職率
 11 3,368(590) 1,197(227) 35.5(38.5)
 12 3,428(590) 1,176(248) 34.3(36.6)
 13 3,407(623) 1,111(218) 32.6(35.0)
 14 3,380(597) 1,103(212) 32.6(35.5)
 15 3,416(632)  953(202)  27.9(32.0)
                  ~~~~
学歴社会ついに崩壊!東大終わったなw

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まぁ、ネタに突っ込むのもアレですが、世の中には大学院と言うものがあると言うことをご存じない方のご意見でした。(ちなみに上のURLはリンクが切れています。)
平成16年度では就職や進学、研修医などの道を歩まなかった、その他に分類される人の数は464人。ただし、ロースクールに行った人や大学院浪人などもいるわけですから、就職も進学も何も決まらず無職フリーターになった人の数はもっとずっと少ないでしょう。
ただし、この数字を見てみると年々就職する人よりも大学院へ進学する人のほうが増えていることに気がつきます。今のご時勢、世の中は複雑多様化している上、科学が進み専門的な仕事が増えているため専門性を兼ね備えた人が必要になっていると言うことも聞かれます。

そこで、修士課程からの就職率を調べてみました。まず修士課程を終えた段階で無職になってしまう人の数は、2719人中63人、割合で2.3%です。この数は非常に少ないので、博士に行ってからの進路を見てみることにします。

専攻    博士進学率  博士号取得後の就職率(PDを除く)  博士満期退学者の割合
人文社会系    69%       50%                 68%
教育学       71%       26%                 73%
法学政治学    15%       38%                 71%
経済学       53%       79%                 64%
総合文化      67%       41%                 61%
理学系       57%       40%                 12%
工学系       18%       38%                 18%
農学生命科学   40%      農学博士 26%(全体で29%)   9%
     獣医博士 50%           4%
医学系      66%      医療博士 64%(全体で60%)   20%
                 保健博士 32%            42%
薬学系      58%       50%                   2%
数理科学     54%       26%                   4%
新領域創成科学  27%       45%                 資料なし
情報理工学系   29%    資料なし(求人は多く対象学生の3~5倍の求人がある)
学際情報     38%    資料なし

全体の 博士への進学率 39.4%   博士課程進学者のうち博士号取得者の割合 71.2%
     博士の就職率43%

備考:人文系でも社会心理学は求人が多く官公庁へ行く人も多い。

各比率は東大ホームページ卒業・進学・就職インデックスの 大学院修了者の修了後の状況 というリンクから計算しました。ここでPDはポストドクターをあらわし、就職した人は任期なしの職についた人をあらわすことにしています。
情報理工学系のところに書いた「求人は多く対象学生の3~5倍の求人がある」と言う情報や、備考に書いた「社会心理学は求人が多く官公庁へ行く人も多い。」という情報は各研究科のHPにある進路関係の資料に書いていました。

専攻ごとの比率はかなり違えど、修士課程に行った後の大体27.3%は、博士課程に行くも博士を中退したか博士修了直後にはPDを除く職に就職できていないことになります。(アカデミックポストに就くことができたが、自分の研究を優先してPDを選ぶ人もいるので、こういう書き方は反感を寄せてしまうかもしれません。あくまで、任期つきではない職につけるかどうかということが興味の対象になっているので申し訳ありませんがこのような書き方をしました。)同ページにある学部卒業者の卒業後の状況によると、大学を卒業した人のうち53.6%のひとは修士に行くみたいです。
注意:もちろんここも、学部によって思いっきり差があります。例えば理学部は268人中234人が修士課程に進学するのに対して、経済学部は343人中35人しか修士に進みません。

ここまで計算すると、東大に入った人のうち14.7%の人は博士を中退するか博士修了後も任期のない職にはつけないことになります。任期のない職に就くと言いましたが、PDは、博士修了後に学振特別研究員になる人が19.0%いて、その他のPD(恐らくはCOEなど)が70%はいます。(ちなみに、博士中退者については殆どその後の進路が分からないそうです。多くは塾講師などアルバイト先の正社員になるということを聞きますが、真相はどうなのでしょう?)だから、博士を修了してまったくの無職になると言う人の数は本当に少数であります。(博士修了者の5.2%)
次に、PD終了後にはどうなっているでしょうか?こちらを見てみると分かりますが、PDの中で最も充実している学振研究員のうち、PD任期切れ直後にアカデミックポストについた人は39%、学振が終わってから他の機関でPDについたり、非常勤講師などをして5年間過ごした人も入れたら69%、さらに11年経過した人を入れれば87%となっています。
ただし、PDのその後とはいってもこれは学振研究員のその後であって、東大の学振研究員のその後に限ってみれば、アカデミックポストに就いた人の数はもう少し変わるでしょう。また、東大博士修了者が最もなるであろうCOE研究員はその後についての資料がありません。したがって、PDのその後についてはまだ分からないと言えますが、現段階では高い割合でアカデミックポストについているみたいです。

さてさて、ここまで見れば、なんだ、最近はPD問題とか博士問題とか言うけれども、東大に入れば前途揚々ではないかと思えるかもしれません。(PD修了後11年も決まった職がないのは大変ですが…。)
そこで一つだけいいますと、PDのその後と言う資料は、PD問題が表面化する前の資料であり、現在では理学系を中心に大学教員のポストが非常に少なくなってしまっているうえ、ポスドク1万人政策などのおかげで博士の数があふれるほど多くなっており、これからPDの任期が切れたのに全く先が決まっていなくてどうしようという人が増えてくることが目に見えていることです。これがPD問題なのです。
例えば数学の助手の倍率は50倍とも100倍とも言いますし、実力があろうがコネがあろうがなんだろうが運もどうしても必要になるであろう世界が見えてきます。まぁ、運も実力のうちと言えばそれまでですが。

団魂世代の退職でポストが増えるだなんていいますが、それ以上に深刻な問題は少子化です。少子化のあおりを受けて大学も生き残れるかどうかが問題になってきました。特に不安になるのが、実社会とのつながりが薄い(要は金にならない研究をしている)理学系の研究や哲学や文学が大学の存続競争との関係できられてしまわないかと言うことです。最近では横浜市立大学や旧都立大からそういう学部がなくなっていきました。
教授のポストは確実に減っています。そうなると、PDのその後と言う数字も変わってくるでしょうし、博士のその後も変わってくるでしょう。
加えて、この学振の資料を見ても問題が出ていることが伺えます。35歳以上ではアカデミックポストでも求人が急激に減るため、任期修了して7,8年以内に職に就くことのできなかった人は、本当に就職先に困ってしまうと言うこともいえます。平成12年の段階では、任期終了後5年での常勤職への就職率は88.1%だったそうです。(参考URL: http://hakasenoikikata.com/posdoc_report03.html)それが、今では任期終了後11年もの資料を出してやっと、当時と同じ就職率に出来たわけですが、この11年のうち殆どの人は35歳までに職を決めているのだとすると、これからは任期終了後何年分の資料を出そうともその就職率は任期終了後10年でのものに比べてたいして上がらないのではないかと思われます。任期修了後10年の就職率がどんどんと下がっていったら…。少なくとも、今後は任期終了後10年の資料でも就職率80%を出すのは難しくなってくるでしょう。

全体の5割以上が大学院に行きたがり、そのうち4割が博士号を取得したがる。そしてそのうちの1%を除いたみんなが、職がないとさまよう。

いくらなんでも、そうはならないでしょうが…。

万が一そんなことがおきたら、その場合は就職率は、8割程度になります。こうなれば、学歴社会ついに崩壊ですね。

まぁ、年功序列制度が影を潜め、個人の実力を見るようになったこのご時勢、いくら博士修了者が高年齢だからと言ってもそれだけの理由で、みんながみんな職がなくなることはないでしょうが…。


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いかさんまの蒲焼

進路状況が新しく更新され、平成16年度の大学院修了者の修了後の状況
http://www.u-tokyo.ac.jp/stu04/pdf/e0902_2005.pdf
というページができていました。

博士課程修了者および満期退学者1458人中、博士終了直後または博士課程の途中でアカデミックポストに就いた人は150人、研究機関へ就職した人が111人、その他の固定職への就職者数は294人、一方無職は152人、割合で言えば18%が順調に教授職または研究職に就き、20%が研究職以外に就職して、逆に10%を超える人がPDにも就くことができず進路が定まらなくなってしまうみたいです。
専攻に分けてみても、僕が調べたときには就職率が80%近くあった経済学部も今は、40%とかなり落ちています。専攻に関係なく、かなり博士の方々のおかれている状況は厳しいようです。
こういうデータは年度によって差が生じてしまうのでしょうが、状況は、僕が思った以上に深刻なのかもしれません。
by いかさんまの蒲焼 (2005-10-24 15:42) 

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